読書感想文がきっかけで
娘が作文好きに!
作文が苦手だった娘さんを
バックアップしようと決意したお母さん。
励まし、褒めることで娘さんがやる気になり、
なんと、区の文集に掲載されるほどの読書感想文を
作り上げた体験です。
広中 美代子さん(仮名・東京都) ことはさん(仮名・小6)
作文が苦手だった娘
去年の夏、二学期の始業式まであと一週間あまりという頃。
宿題を終えてしまった娘の最後の課題は、読書感想文でした。本はすぐに読んだようですが、いざ書くとなると「感想文いやだなぁ。私ヘタだもん。」と、なかなか取り組む気になれない様子。
本好きで、感受性も強いのですが、娘は気持ちを作文や会話で言葉に表すのが苦手なのです。
感想文にチャレンジ
そこで、私は夏休みの読書感想文をバックアップすることにしました。
『ラブの贈りもの』という感想文用の本を、私も一読してみました。
盲導犬を育てるお話で、なかなか感動的な物語です。
お昼の食卓で、「ママもその本読んだのよ。一緒に話をしながら頑張っていこうね。」と言いながら、娘を励ましました。
すると、娘は安心感がわいてきたのか、少しやる気が出てきたようで、「うん、じゃあがんばろうかな。」と快い返事が返ってきました。
まずは、あらすじの整理から。次の日さっそく、娘が書いたノート二、三ページほどのあらすじメモを読んで、私なりにアドバイスをしていきました。
「ここは詳しく言い過ぎかもね。こういう場面もあったけど、それは書かなくてもいい?」などなど。
娘は、「あ、そうだ。そうだ。」と、自分で表現を工夫しながらノートに書き加えたり、けずったりしていきます。
そのあと、特徴的な場面の感想を二人で話し合いました。娘は深まった感想をノートに書き入れていました。
どうやらこのメモを充実させたことで、ことはは自信を得たようです。
「感想文っておもしろいんだね!」
次の日、娘は部屋にこもり、原稿用紙に黙々と感想文を書いていました。
一時間ほどたって、「できたよ!」とはりきって見せにきた原稿を読んでみると、娘にしてはとてもよくできています。
「すっごく、よくできてるわよ。」と私はほめました。
けれど、もう少し直すともっとよくなりそうだったので、ちょっぴり心を鬼にして、さらに何カ所か指摘してみました。
「こことここがわかりにくいね。それに漢字で書けるところは漢字で表現した方がいいんじゃない?」「え? また全部書き直すの!?」
一瞬、娘はめんどくさそうな顔を見せましたが、次の日には完成していました。
出来上がったときの「感想文って、おもしろいんだね。」という娘の言葉がとても印象的でした。
ことはの感想文が文集に!
学校に提出した後は、感想文のことなど忘れていました。
ところが、三カ月ほど経ったある日、学校から帰ってくるなり、「私の感想文が『けやき』に載ったよ!」と、娘が駆け寄ってくるではありませんか。
聞けば、『けやき』というのは区の教育委員会が発行している文集で、学年で一人しか掲載されないそうなのです。
まさか、娘の感想文が選ばれるなんて……。親の私が驚いてしまいました。
さらに驚いたことに、読書感想文がきっかけで、娘がだんだん作文好きになっていったのです。今年の七月には、自由参加の作文コンクールに、自分からすすんで応募するまでに――。
苦手な作文でしたが、親が子どもの目線に立ち、ちょっぴりアドバイスをしてあげることで、こんなにも変化が現れるなんて、自分でもびっくりしています。