引っ込み思案な息子が、
積極的に変わった
お母さんが自分の気弱な性格を克服することで、
子供の心が変化していった体験を紹介します。
佐々木恵子さん(仮名・大分県) 勇樹くん(仮名)
気弱で引っこみ思案な勇樹
勇樹は、わが家の四人姉弟の末っ子です。しっかり者のお姉ちゃんたちや、強い性格のお兄ちゃんとは対照的で、おとなしくて気も弱くめったに意見も言いません。
小学校に上がると、活発な周りの子たちに気後れして、うまく自己主張ができないようで、今まで以上に引っこみ思案になってしまいました。
一緒に登校する近所の女の子がスタスタと先に行ってしまっても、「待って」と言えませんし、お友だちにイヤなことを言われても、言い返すこともできません。
「学年が上がれば、少しはたくましくなるかな」と思いましたが、かわりませんでした。
(このままでいいのかしら? 自分の意見や気持ちをちゃんと言えないと、大きくなってこの子自身が困るんじゃないかな……)
私は、勇樹の将来が不安になってきました。
悩んでいるだけでは、前に進めない
実は、私自身も気が弱くて自己主張が苦手です。
勇樹が3年生の時、私の勤め先の給食センターで配置換えがあり、多くの後輩を指導する立場になりました。
気の強い後輩たちを相手に、言うべきことがなかなか言えない私は、しだいに自信をなくして落ち込んでしまったのです。
そんな時、私を助けてくれたのが、幸福の科学で一緒に仏法真理を学ぶ山本さん(仮名)でした。彼女は、私の悩みを親身になって聞いてくれました。そして、明るく励ますように、こう言ったのです。
「グルグルと悩んでるだけじゃ、前に進めないよね。本気で解決しようとしなくちゃ。自己主張できない原因は何なのか、具体的にどうすれば解決できるかを一緒に考えよう。しっかり考えたら、あとは実践するだけ。ねっ!」
目からウロコが落ちました。私はやっと、悩むばかりで結局何も努力していなかった自分に気づいたのです。
祈りのなかで見つけたもの
「まずは、真理の勉強とお祈りを続けましょう。心が落ち着いて、よく考えられるようになるわよ」
山本さんにアドバイスされた私は、大川隆法先生の本を毎日読み、お祈りも欠かさないようにしました。
すると、不思議と心が落ち着いて、だんだんと頭がスッキリしていきます。そして、「今、私は何をすべきか」がきちんと考えられるようになっていきました。
(まずは、一週間の全員の仕事の流れを把握しよう。できるだけ前倒しして、翌週の計画も立て、早め早めに段取りをつけていこう)
こうして、仕事を先取りして考える時間を作るようになると、考えと行動に余裕が生まれてきました。その結果、後輩たちにも自然と指示が出せるようになってきたのです。これまで自分になかった自信や積極性が芽生えてきたと、実感しました。気の強い後輩も、いつの間にか「心強い協力者」と思えるように変わっていったのです。
こうして、一つの成功体験をつかんだ私は、勇樹に自分の経験を話して聞かせるようになりました。勇樹も何だかうれしそうに私の話を聞いていました。
「お母さんね、積極的にがんばれば、道は開けるんだなあと思ったよ。自分にはできないと思っていたこともできるようになるもんだね。 勇樹も、何でもがんばってみたらいいね」
私は、勇樹の気弱な性格を、何が何でも変えようと思ったわけではありません。
ただ、自分がつかんだ大きな喜びを勇樹にも伝えたい。そう願いながら話をしました。
放送委員に立候補
「ぼく、自分から立候補して放送委員になったよ。」
5年生になったばかりの勇樹が、そう言います。
「すごいねえ、勇樹!」
「うん…。言うのは勇気がいったけど、ずっと前から、お昼の放送をやってみたかったんだ」
その言葉通り、お昼の朗読の当番になると、勇樹は自主的に前日から練習して上手に読めるようにがんばっていました。
一学期、二学期と経験を積み、大きな声で上手に放送できるようになっていった勇樹は、先輩にもほめられたそうです。
「ぼく、何だか友だちと話すのが平気になってきたみたい」
声を出す放送委員の仕事を通して、勇樹は、自分に自信を持つようになっていきました。
6年生になった勇樹は、タテ割りの掃除班で副班長になり、サボっている子に「ちゃんとしないとダメだよ」と注意することができるようになったそうです。同じ班の下級生からもずいぶん慕われるようになりました。
そんなある日、勇樹が、『ヘルメス・エンゼルズ』の「ひかりのことば」を食い入るように読んでいました。そこには、「勇気をもって悪をおしとどめ、正しいことを行おう。真理を実践する人は最後には必ず勝利する」ということが書かれていました。
(ぼくには、勇気が足りなかったんだ。もっと勇気ある生き方がしたい!)
この時、勇樹の心にわいた強い思いを私は後になって聞きました。
勇気の旗をふろう!
そして9月、運動会の練習が始まりました。なんと勇樹は、赤組応援団の副団長に自分から名乗りを挙げたのです。
「もっと声を出して!」
あの引っこみ思案で気の弱かった勇樹が、大声で下級生を指導しているというのです。
そして、秋晴れの運動会当日。135センチの小柄な勇樹は、真っ赤な手袋をつけ、真っ赤な大きな旗をふって応援していました。校庭に三三七拍子の笛の音が勇ましく響きました。
勇樹が、小さい頃から欠かさず読んでいる『ヘルメス・エンゼルズ』の大川隆法先生の「ひかりのことば」。その121号にこう書かれてあります。
「自分を強く、たくましく、勇ましく、育てていく心。これが大きな成果を生むのです。どうか、それを信じて、努力してほしい」
勇気をもって挑めば、自分を変えることができる。そして道は開ける。私も勇樹も、真理を実践することで人生にとって大切なものをつかむことができました。
これからも、家族みんなで真理を実践していきたいと思います。