個性を丸ごと愛したら、

前向きに変わった息子

 

小さなころからアトピーやぜんそくを持ち、

病弱で発達が遅い次男を心配していたお母さんの体験です。

 

 小野寺 和美さん(仮名・三重県) 

 次男:ゆうじくん(仮名・小6)

 



 

病弱で発達の遅い息子

 

わが家は、男の子3人の5人家族です。

 

長男と次男は、性格はもとより成長具合が全く違いました。

 

長男は真面目で落ち着いたタイプ。次男のゆうじはのんびり屋で好き嫌いも多く、赤ちゃんの頃から、アトピーから始まり、鼻炎、ぜんそく、じんましんを持ち体も弱く、歩き始めるのも、言葉が出るのもとても時間がかかりました。

 

それでも、幼稚園時代は、天真爛漫(てん しん らん まん)さでみんなにかわいがられ、泣いている子には、そっと近寄ってハンカチを渡すなど、とても気持ちの優しい子でもありました。

 

でも、小学校に上がると今度は学力の心配が出てきました。

 

何をするにも周りの子より遅いのに、本人はそのことを全く気にせず、いつもマイペース。学校の先生から何度も「このままでは勉強が遅れてしまいますよ」と注意を受けるのですが、「いろんなこと考えてたら、チャイムが鳴っちゃったんだ」と悪びれもなく言うのです。

 

4、5年生になると、今度は毎日ケンカをして帰って来るように。冗談が理解できなかったり、感情のコントロールができなかったりで、すぐに手を出してしまうのです。いつも、ちょっとした誤解が原因でした。

 

また、そんな日にかぎってじんましんが出て、夜眠れなくなるなど、悪循環が続きました。

 

(この子の将来はどうなるんだろう)

 

どうすればいいのか分からないまま、時間だけが過ぎて行ったのです。

 

 

自分が嫌いな私

 

あるとき、「どうしてできないの!」と、忘れ物のことで叱りつけている自分の声にハッとしました。私自身の子供時代を思い出したのです。私は、学生の頃から自分が大嫌いでした。一生懸命やっているのに理想にはほど遠く、記憶力も悪いし、いつも失敗ばかり。周りに理解してもらえないことにもがき苦しみ、心の中は、自己嫌悪(けん お)と劣等感でいっぱいだったのです。

 

「私はダメな人間なんだ。私なんかいなくなってもいいんだ」

 

一人になると、そんな思いが頭に浮かび、死にたくなることもありました。

 

(そういえば、あの頃私もアトピーや喘息で苦しんでいたし、ストレスでよくパニックを起こしていた……。同じだわ)

 

その後、優しい主人との結婚でだいぶ緩和(かん わ)されたのですが、結婚後もまだ、「家事ができない。片付けができない」と、自信を持てることなど何一つなかったのです。

 

いまだに、ありのままの自分を受け入れられず、自分が嫌いで、自分を責め続けている私……。同じように息子を責めていた)

 

そのことに、やっと気づけました。

 

 

「勇気を持って(から)を破ろう」

 

その頃、発刊された大川隆法先生の『勇気の法。私はこの本の題名にとても引かれ、さっそく手に入れると、1ページ1ページ丁寧(てい ねい)に読み進めました。

 

そして、次の言葉にくぎ付けになったのです。

 

「勇気を持って(から)を破ろう。そして、行動しよう。できない理由を語るのではなく、『どうやったら、できるんだ』と、いつも自分自身に問うあなたであれ」

 

この言葉に、私は心から感動しました。

 

(これは、私のことだ! 息子を変える前に、まず自分が本気で変わらなければ……)

 

幸福の科学の会員である私は、研修に行ったり、友人と話をしたりするなかで、そのつど、自分を変えたいと思うのですが、いつも「でも…」と、言い訳をしては逃げていたのです。イヤなことがあると体調が悪くなって寝込んでしまうこともよくありました。

 

でも、今回は今までの私とは違いました。

 

言い訳を止めて、どんなことにも前向きに取り組もうと決めたのです。

 

(一度にいろいろなことをしなければいけないと思うと、パニックになり何もできなくなる。まず、一つのことに集中してきちんと終わらせよう、それから次のことを考えよう)

 

(それに、自分でダメな母親だと思って、自己嫌悪に(おちい)っていたけど、周りからは「よくやってるよ」と声をかけてもらうことも多かった――)

 

自分の長所も素直に認めるように努力しました。

 

 

息子の個性を愛していく

 

私は、少しずつ、自分が変わっていくのを感じました。ありのままの自分を受け入れることで、自分を愛せるようになっていったのです。

 

その目でゆうじをよく観察していると、あちこちに気が向いて集中力が続かないことや、周りへの気(づか)いや配慮にまで心が向いていないことなどが、トラブルの主な原因だと思えました。

 

息子の個性に合った接し方を心がけていきました。

 

何事も丸投げの言い方ではなく、しっかりと子どもの心に向き合うようにして、お手伝いをお願いする日や内容なども、言葉だけではなく、カレンダーに分かりやすく書いて、目のつくところに張っておくように工夫などしていきました。

 

その結果、息子は今も小さな成功体験を重ね、少しずつ成長しています。

 

「一年後、二年後と必ずよくなる」と、心から信じ、希望を持って日々を送っています。