「いじめに負けない!」
真実を武器に堂々と戦った家族
 
――克明な被害記録で、わが子を救い出せ

 

娘がいじめられていることに気付き、

正々堂々と真実を武器にいじめと戦った親子のお話です。 

 

前島 千佳子さん(仮名)・ 由紀さん(仮名)


 

何も言わない娘
 由紀の様子がおかしい、と感じたのは、小学六年に進級してすぐのことでした。学校から帰ったときの「ただいま」という声が、いつもより沈んでいます。宿題を終えると、リビングに置いてある『ヘルメス・エンゼルズ』を次々と読み続けます。由紀は困ったことがあると、いつもこうして仏の教えを学び、自分で何とか解決方法を見つけ出そうとするのです。

 

「何かあったの?」気になって聞いてみましたが、「ううん、何にも」という答えしか返ってきません。

 

 

算数の教科書がない
 それから二週間ほどたったある日のこと。
由紀が泣きそうな顔で帰ってきました。聞くと、同じクラスのS君に教科書を勝手に取られたそうです。娘は「どこにあるの!?」とたずねましたが、答えてもらえませんでした。


 S君の名前は以前から聞いていました。理由もなく、由紀に向かって「ウザイ。」などのひどい言葉を言ってくる子です。私は、すぐに担任に連絡をして、「S君に教科書を返すように言ってほしい」と言いました。


 しかし翌日、娘が持ち帰った連絡帳に書いてあった担任のコメントは、信じられないような内容でした。「S君は知らないと言っています。家でもう一度探してください」。さらにその直後、S君のお母さんから電話がかかってきました。

「息子が、間違って由紀ちゃんの教科書を持ち帰ったようです。明日持って行かせます」。

 

一部始終を聞いていた主人が、すぐに担任に電話をしました。「これは変ですよ。S君はわざとやったんじゃないんですか。事実を調べて、学校からS君に適切な指導をしてください」。次の日、教科書は戻ってきました。「わざとやったのではないと思う」という担任の見解とともに。私は釈然としない気持ちでした。

 

 「私、お金取られてるの。」
 さらに二週間経ち、家庭訪問で担任の先生が家に来たときのことです。先生と私がテーブルをはさんで話をしている最中、ずっと無言で座っていた由紀が急につぶやいたのです。

 

「お金……取られてるの……」私も担任も驚きました。


 四月の始め、S君に真ん中がへこんだ下じきを見せられ、「オマエのせいだ、弁償しろ」と迫られました。最初、由紀は拒んだのですが、度重なる要求にとうとうおこづかいを渡してしまったというのです。消え入りそうな由紀の声に、これまでの不安やつらさがにじんでいました。「それはS君がよくない。先生がちゃんと話をするから」と担任は言ってくれました。
 

 

歪められた事実
 その後、S君を連れてやってきた担任は、 「子ども二人で話をさせたいのですが」と言って由紀を外へ連れ出しました。

 

「はたして子ども同士の話し合いだけで解決させていい問題だろうか」と思いましたが、戻ってきた担任から、「S君がちゃんと謝りましたので」と言われ、それ以上の追求もできません。

 

しかし、うつむいたままの由紀の顔に、笑顔はありませんでした。

 

このままでいいのか


  (これで本当に解決したと言えるのかしら……。)


納得できない気持ちと、また同じことが起こるのではという不安がつのります。


その一方で、これ以上事を荒立てて、学校や他の保護者と対立したくない、という気持ちもありました。できることなら、普通に平穏に過ごしたい……。しかし、娘の晴れない顔を見ていると、「今回のことを子ども同士の軽いいざこざとして終わらせてもいいものだろうか、S君の日頃の暴言や金銭の要求がなくなるかどうかも心配だ」。私は悩みました。
 


法友のアドバイス
  「うちの子にも何か問題があるのかしら……。」気弱になった私は、幸福の科学で一緒に真理を学んでいる法友に相談しました。すると、いつもは朗らかな彼女から、思いがけないほど真剣な強い言葉が返ってきました。

 

「しっかりして。子どもはいったい誰が守るの? お父さんとお母さんしかいないでしょ。由紀ちゃんは何も悪くないんだから、言うべきことは正々堂々と学校に言わなくちゃ」 。

 

私は、その言葉で迷いが吹っ切れました。
(そうだ。由紀が二度とこんな目に遭わないように、きちんと決着をつけなきゃいけない。)

 

主人が書いた詳細な被害記録
 私は主人と一緒にいじめの解決に取り組みました。

 

まず、二日間かけて娘から事件の詳しい経緯を聞き取りました。励ましながら、根気よく繰り返し聞くことで、 由紀自身もだんだん細かい部分まで思い出してきます。やがて、実際に起こった一つ一つの出来事と、事件全体の流れがはっきりと見えたのです。次に、それを克明に記録しました。すると子どもとは思えない、まるでヤクザのような執拗なカツアゲの様子がわかってきました。

 

「小学生といえども、これは犯罪だ」主人の言葉に私もうなずきました。

 

「二度とこんなことが起きないように、きちんと学校に対処を求めよう。それでだめなら教育委員会や県議会に訴えよう。由紀を守るために、最後まできちんと戦おう」。笑顔の消えた娘を見ながら、主人は力強く言いました。
 


まず、事実を認めてもらおう
   校長をはじめ、教頭、学年主任、担任の四人の先生方と、私と主人は話し合う場を設けました。

 

「まず、これを読んでください」四人の先生それぞれに、四ページ分の詳細な被害記録と、今後の学校へのお願いを一枚にまとめたものを併せて渡しました。読み終えた学年主任は、カツアゲの事実には言及せず、「相手のお子さんのお家も大変なんですよ。」と、まるで相手をかばうようなことだけを言います。内心、怒りが込み上げました。しかし、私たちは事前に、「感情的にならないで、事実を事実として認めてもらう方向で戦おう」と話し合っていたので、感情を顕わにせず、冷静に話を進めていきました。そして、一つ一つの事例を読み上げて「ここについては、どう思われますか?」と、問いかけていきました。すると担任が、「書かれている通りではないかと思います」と言いました。校長先生と教頭先生も同じ意見でした。


 一通りの説明を終えた後、教頭先生から、「ご両親はどうされたいですか?」と質問され、私は答えました。「要望は二つ。一つは、もう二度とこんなことが起こらないように娘を守ってもらいたい。もう一つは、たとえ子どもといえどもこれは犯罪です。大人なら恐喝の罪で逮捕されるでしょう。学校できちんと調べて解決してください」。

 

教頭先生から「わかりました。対処させていただきます」と返事をもらい、こうしてS君が行った由紀へのカツアゲの事実は学校に認められました。
  


隠されてしまう真実
 後日、教頭先生からS君の両親へ事情説明がありました。

 

「うちの子はそんなことしない!」と、S君の母親は強硬に否定したそうです。しかし、自宅に帰った父親がS君に繰り返し問いただすと、とうとうS君はやったことを認め、「ごめんなさい」と泣いて謝ったそうです。

そして、教頭先生から「S君にもこれからの学校生活がありますので、この件は決して口外しないでください」と言われました。

 

 結局、今回の件は、他の保護者には一切伏せられたまま終わりました。それ以降カツアゲはなくなりましたが、小学校を卒業するまでS君からの言葉のいじめは続いたと後から由紀が話してくれました。由紀は、いま、ハツラツと中学に通っています。

 

「お母さん、やっぱりあの事件は一人では解決できなかったと思う。一緒に戦ってくれてうれしかった。解決の鍵は親子のコミュニケーションだったね。」

 

 娘の笑顔を守れたことを、私たちは誇りに思っています。




体験談にも登場した『ヘルメス・エンゼルズ』では、いじめに関する特集も掲載しています。

 

258号の特集「いじめも自殺も絶対にダメ!」(ご好評により完売)にて掲載しました、いじめを解決するための5つのステップをご紹介します。

 




今回の体験者・前島さんはご夫婦でいじめと立ち向かい、みごといじめ解決に繋がりました。

また、近年のいじめはどんどん悪質になっていることもあるので、ステップ4にもある「専門家に相談する」ことも大切です。

 

【幸福の科学グループが支援するグループ】

一般財団法人 いじめから子どもを守ろう!ネットワーク

 

大川総裁の経典『いじめの世界と愛の世界』にも、

 

「どんな理由があっても、いじめは悪である」

 

とあります。

もし子どもがいじめられていたら、どうぞ勇気を持って立ち向かってまいりましょう。