ADHDを

子どもの「個性」の一つと受けとめ、

伸び伸びと育てられるようになった

 

わが子のADHD(注意欠陥・多動性障害)の傾向に悩んでいたお母さんが、

問題を乗り越えていく体験です。


宮崎夕子さん(仮名)(北海道)・雄司くん

 


 

ADHDの傾向性を持っていた息子

 

長男の雄司は、小さい頃からとにかく手のかかる子でした。

 寝る前の歯磨きやトイレなど、ごく当たり前の生活習慣がなかなか身につかないのです。

 (私のしつけが悪いのかな……)

 叱ってもおだてても効き目はなく、小学生になってもランドセルの片づけひとつ満足にできません。

 「ランドセルはここに置くんでしょ!」

 「はーい」

 注意すると返事はしますが、次の瞬間には他のことに気を取られて忘れています。

 担任の先生からも、「雄司くんは注意散漫ですね。何度言っても聞こえていないようです」と言われる始末……。

 (何回言ったら分かるんだろう?)

 (なんで、こんなことが出来ないの?)

 雄司を責める思いは、いつしか、(どうせ言っても、できないだろう)と諦める気持ちに変わっていました。

 一方、主人は、雄司のだらしなさが目について仕方がないようです。夕食が済むと、「雄司、宿題やったか」「学校からの手紙はお母さんに渡したのか」「明日の準備は」と、気になる点を立て続けに指摘します。

 「え、あ、あれ……」

 雄司は慌ててやろうとしますが、パニックになってしまい、何も手につきません。

 しまいには「できなーい!」と泣きわめくので、主人から叱られてしまうのです。

 (そこまで厳しくすることないのに……)

 雄司のしつけをめぐって、夫婦の間がギクシャクすることもありました。

 小学一年生の秋。突然、雄司の全身にひどいチックが表れ始めました。それ以前にも軽いチックはありましたが、今度は足先までがピクピク動いて止まりません。

 「ならないようにしても、なっちゃうよ」

 雄司は困惑していました。

 何とか治してあげたいと思った私は、解決策を求めて専門書を読み始めました。

そして、激しいチックが見られる子どもの半数以上がADHDであると知ったのです。

 (雄司もADHDなのかもしれない……)

 あまりにも注意散漫な性格は、ADHDのパターンそっくりでした。

しかも、「ADHDの子は不登校を起こしやすい」などの否定的な説明ばかりが目に入り、私は不安に駆られました

 

 

ADHDは「個性」のひとつ

 

その時、『ザ・リバティ』という雑誌にADHDの記事があったのを思い出して読んでみました。

 すると、「ADHDは、転生輪廻の過程で培ってきた『個性』の一つである」と書かれていたのです。

 (えっ、「個性」なの?!)

 雄司をよくよく観察してみると、瞬間瞬間が勝負で、長期的に考えることが苦手です。

 (この子は出来るのにやらないんじゃない。注意しても忘れたり、すぐに気が逸れてしまうのは、「個性」の一つと見ていいんだ――)

 急に気が楽になりました。

 ほっとして心が落ち着くと、雄司のいいところが見えてきます。

 友達みんなに平等に接したり、妹の面倒をよく見る優しいところ。創造性が豊かで、工作が大得意なところ……。

 (そう言えば、最近褒めてあげてなかったなあ……。雄司の長所をもっと伸ばそう)

 私は、雄司の長所を発見したらすぐ褒めるように心掛けました。

 「雄司は優しくてえらいね」

 「雄司のそういうとこ、立派だね」

 口に出して伝えていると、足りないところを見ていた時と違って、私の心は穏やかになり、雄司も生き生きしてきます。

 また、主人とも相談し、厳しく注意する事は一個か二個にして、夕食後には楽しく過ごすようにしました。

 チックの原因の一つはストレスだと言われていたからです。

 「コマで遊ぼうか。」

 主人から声をかけると、雄司は「やったー!」と大喜び。そんな日が三日も続くうちに、足先に表れていたチックがほとんど見られなくなりました。

 「ママ、体が勝手に動かなくなったよ!」

 雄司は嬉しそうに報告してくれました。

 

 

「細分化の原理」を実践して、

パニック状態を克服

 

 ただ、後片づけなどの習慣が身につかないのは相変わらずでした。

 ADHDの特徴の一つとして、物事を順序立てて考えられないという点があります。雄司も例外ではなく、やらなければいけないことがいくつもあると、途端にパニック状態になって泣きわめくのです。

 そこで私は、大川隆法先生の『奇跡の法』という書籍に書いてあった「問題を細分化し、優先順位をつける」という教えを子育てに応用しようと思いました。

 学校から帰って来たら、「まず、何をしなくちゃいけないのかな?」と尋ねます。

 「これは一番で、これが二番。三番と四番は今できないから後でしようね」

 そう言ってあげると、雄司はすごく安心したようでした。次第に、「宿題はもう終わったよ。明日の準備は寝る前にやるし、今はこれをするよ」と、自分から言うようになりました。

 また、もっと自信をつけさせようと、エジソンもADHDだったことを伝えました。

 「お兄ちゃんは、天才型でもあるんだよ」と励まし、本人が苦手としているコツコツ努力することの大切さも言い聞かせました。

 「へえ。そうなんだ……」

 雄司はエジソンがとても気に入ったようです。読書は苦手なものの、エジソンの伝記は進んで読むようになり、時には自分から家での勉強に取り組むようにもなりました。

 現在、小学三年生ですが、今ではチックも見られず、パニックを起こして泣きわめくこともありません。

 私はこの体験を通して、子育てとは「子どもの個性を受け入れて伸ばしてあげることなんだ」と身をもって教えられた気がします。

 また、「人間には多様な個性がある」という仏法真理の教えが腑に落ちて、(こうあるべき)と人を枠にはめて見ることがなくなりました。

 雄司のおかげで、私自身も成長できたと、感謝しています。