娘と娘の友だちの善き心を信じて ── 子どもの友だち関係の問題を乗り越える ──

  

大久保 真由子さん(仮名)(東京都

 

 

 

  娘の久留美(仮名)が小学校に上がるとき、私は、(友だちはできるかしら)と、少し心配でした。

娘は同じ歳の子と比べて幼く、人見知りするタイプだったからです。

 でも幸運なことに、社宅に、同じクラスの咲(仮名)ちゃんが住んでいました。活発なタイプの咲ちゃんは、娘をひっぱってくれます。やがて二人はお互いの家を行き来して遊ぶようになり、私も咲ちゃんのお母さんと親しくなりました。

 

三学期に入って久留美が、一週間のうちに何度も腹痛を訴えて学校を休みたがるようになりました。

(もしかして、行きたくないのかしら……)

ある夜、布団に入った久留美が、「明日、学校に行かなくてもいい?」と聞いてきました。

 「どうして?」

久留美は「学校に行きたくない……」と言って、涙をぽろぽろこぼし始めました。

 「咲ちゃんが…、『絶交』って言うの……」

 (あんなに仲がよかったのに?!)

絶交の理由にまったく心当たりがないようでした。その後、咲ちゃんは毎日、きつい言葉を投げつけたり、手を出してきたりするようになったとのことです。

 

 (ごめんね、今まで気づかなくて……)

娘の本来の明るさを引きだそう

 

 娘を寝かしつけてから、私はできるだけ心を静めて考えていきました。

 (幸福の科学では、問題が起こったら自分にも原因がないかを考えると学んでいる。──私の育て方にも、何か問題があったのかもしれない)

 思い当たるのは、娘が他の子に比べてできないように見えて、感情的に叱ってしまうことでした。

 すると、久留美と自分がよく似ていることに気づきました。私は自分の欠点を娘の中に見つけてイライラしていたのです。

 (もっと、良いところを見ていかなくちゃ)

 気持ちを切りかえてみると、元気なときの久留美の輝く笑顔が思い浮かびました。機嫌がいいと大声で歌いだす明るいところもあります。

 (あの本来の明るさを出していければ、いじめをはね返せる。久留美にも仏の子としての光り輝く部分があるんだから、絶対に、この問題は乗り越えられる)

 そう思うと、希望が湧いてきました。

 

久留美を励ます

 

 朝、私は、ぐずぐずして起きようとしない久留美に「今日の学校の給食はね、すっごくおいしいよ」と言いました。給食が大好きな娘は、少し明るい顔になります。

 「ねえ、久留美。嫌なことは、ちゃんと嫌だと言うんだよ。困った時は先生も助けてくれるよ」。

 「うん」

 やっと学校に行く気になりました。

 子ども達を見送った後、私は御本尊の前で、仏のご加護があるように祈りました。

 また、自分自身の心を明るく保とうと思い、家事の合間にできるかぎり仏法真理の書籍を読むことにしました。

 特に、子育ての指針が載っている『幸福へのヒント』は、何度も読みました。家庭の光を強くすることが大事であることは、私自身の課題として心に響き、実践に移していこうと思いました。

 落ち込みそうなとき、「仏は、その人に背負いきれない荷物は背負わせない」という言葉を思い出すと、「久留美を温かく包むように接していこう」と気持ちが強くなりました。

 私は学校から帰ってきた娘に、「今日はどうだった?」と優しく声をかけ、得意なお絵かきや漢字の書き取りを見ては「上手だね」と言いました。するとパッと顔を輝かせます。そうして少しずつ元気になっていきました。

 

子どもたちの善なる心を信じて

 

 その後、私は幸福の科学で共に学ぶお母さんから、「うちの場合、いじめた子に直接お話ししたら、いじめがやんだよ」という話を聞き、私も咲ちゃんと話してみようと思いました。

 ある日のこと、学校から帰ってきた久留美の様子が変でした。

「咲ちゃんがね…『死ね』って言ったの」。

 私は思わず、久留美をぎゅっと抱きしめました。

 (もう、相手に言うべきだ。)

 けれども、感情的になって責めることだけは、絶対にするまいと思いました。

 (二人にとって、いちばんよい道は何だろう…。)

 そう考えながら、私は娘と一緒に、咲ちゃんのお宅へ向かいました。

 「すみません。うちの子が、今日、泣いて帰ってきましてね…」。

私はできるだけ淡々とした口調で状況を説明しました。

 すると、咲ちゃんのお母さんは、

 「申し訳ありませんでした。……実は最近、咲は帰りが遅くて、妹たちにとてもきつい言葉で当たって様子がおかしかったんです。学校で誰かに手を出していなければいいのだけれど…と心配していたんです。咲には、きつく言ってやります」

 「でも、咲ちゃんにも何かわけがあると思いますから、それをよく聞いてあげてください」

 その後、咲ちゃんとお母さんが家に来ました。

 咲ちゃんは、しゅんとした表情で、謝りました。

 「ごめんなさい…」。

 久留美は、もういいよというように頷きました。

お母さんの話によると、友だちのなかでリーダー格の女の子が、咲ちゃんと久留美の仲のよさに嫉妬し、いじめるように命令していたそうでした。

(咲ちゃんもつらかったろうに…。)

 私は、咲ちゃんにも、仏の子としての魂を輝かせてほしいと思い、目を見て話しかけました。

 「『死ね』とか、『絶交』という言葉は、心がとても傷つくからね、言っちゃだめだよ。」

 咲ちゃんは、こくんと頷きました。

 「久留美と仲良くして力を合わせれば、命令している子は怖くないよ。二人でがんばってみない?」

 そして、娘にも言いました。

 「大丈夫だよね、友だちになれるよね」

 「うん」

 「じゃあ、仲直りのしるしに、握手しようか」

 久留美と咲ちゃんは、しっかりと握手しました。

 

再び友だちに戻れた

 

 翌朝から、久留美はぐずらずに学校に行くようになりました。

咲ちゃんは、いじめの命令をしていた子に、「もう久留美ちゃんにいじわるしないから」と、宣言したそうです。

 その後、二人は、宿題を一緒にしたり遊んだりするようになりました。

 そして、久留美は少し強くなり、明るくなりました。二年生になると咲ちゃんの他にも気の合う友達ができて、毎日、楽しく学校に通っています。

 私のとった方法がすべてではないにしろ、相手のお子さんの善なる心を信じることができたのは、信仰のおかげです。